ビザ業務のベテラン【街の身近な法律家】開業し、早20年超。 中国人・韓国人をはじめとした外国人のVISA業務を数々こなし、 『日本の母』と慕われる 細井法務行政書士事務所へお気軽にご相談下さい。

改定入管法施行まで1年…強化される在留管理

09年7月に入管法、出入国管理特例法、住民基本台帳法が改定されたのにともない、半世紀以上にわたって在日同胞を苦しめてきた外国人登録法が廃止される。だが、外国人登録証の常時携帯義務と罰則は在留カードにも引き継がれている。在日外国人の在留管理という法制度の根幹は揺るがないばかりか、さらに強化される可能性がある。新たな在留管理制度の施行まであと1年に迫った。

常時携帯は実質維持
■特別永住者■
違反者に刑事罰
 特別永住者は外登証に代わって「特別永住者証明書」が法務省から市区町村を経由して発行される。「常時携帯義務」こそなくなったものの「提示義務」は残った。入管職員などから特別永住者証明書の提示を求められたときは、保管場所まで同行するなどして提示する必要がある。提示を拒否したときは刑事罰(1年以下の懲役、または20万円以下の罰金)がともなう。実質上、常時携帯義務は維持される格好だ。

 今回、改定で外国人も住民基本台帳に登録されることになり、住民票の写しは住民課などの窓口でとれるようになった。ただし、引っ越しの際は「転入届」に加え、これまでなかった「転出届」も加わる。いずれも最寄りの市区町村への14日以内の届け出を義務づけている。違反に対してはそれぞれについて刑事罰(20万円以下の罰金)が課される。前科がつくのは、5万円以下の過料(行政罰)とした日本人とは大きな違いだ。

 同証明書は7年ごとに更新しなければならない。更新遅延、紛失などによる14日以内の再交付申請遅延などに対しても、刑事罰(1年以下の懲役または20万円以下の罰金)が課される。

2年以内ならば再入国許可不要

 今回の改定で唯一、評価されているのが「みなし再入国」の新設。2年以内の出国‐再入国に対しては「再入国許可」が不要となる。日本を出国する際、入国審査官に旅券と特別永住者証明書を提示して2年以内に再入国することを伝えれば、再入国許可が不要となるというもの。
 ただし、法務省によれば「朝鮮」籍者は適用外としている。再入国許可の制度そのものがなくなったわけではないのだ。

■中長期在留者■
退去強制も視野
 特別永住者を除く3カ月以上の在留資格を認められた外国人については、やはり外国人登録証が廃止され、「在留カード」による管理制度に移行する。在留資格別にみると永住者、定住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等::がこれにあたる。

 在留カードは法律上の常時携帯義務を負い、提示を拒否したときは1年以上の懲役を課され、退去強制の対象ともなる。

 在留カードは地方入管局で交付を受け、市区町村に住居地を届ける。転入、転居などに加え、勤務先、離婚、死別などの各種変更を14日以内に届け出なければならない。

 これが90日を超えたときは住民基本台帳法に基づく行政罰に入管法による刑事罰も加わり、最終的には在留資格取り消しもありうる。これらの届け出は外国人本人の所属する機関も「努力義務」として負う。

 在日韓国・朝鮮人や在日台湾・中国人の「一般永住者」は、その多くが歴史的経緯を有して日本に在住してきた。「定着性が高い」として、90年代までは外登法上でも「特別永住者」とほぼ同様に扱われてきた経緯がある。「一般永住者」だけに過酷な義務規定を設けた今回の改定には民団としても強く見直しを求めている。

 なお、中長期在留者への「見なし再入国制度」の適用は特別永住者と同様の扱いとなる。

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改定内容わかりやすく…Q&Aで解説NGOが発行
 外国籍当事者の立場から入管法・入管特例法・住民基本台帳法問題に取り組んできた複数のNGOが協力、条文に則して改定内容をわかりやすく解説したB5判冊子「外国人のための改定入管法Q&A」(日本語版、カラー)を発行した。

 在留タイプ別に①「中長期滞在者」(16㌻)②「特別永住者」(12㌻)③「非正規滞在者・難民申請者」(12㌻)の3種類。3冊1セット300円(送料込み)。種類別の大量注文は30冊以上から受け付けている。夏にかけて多言語版も順次発刊の予定。
 注文はRAIK/外キ協(FAX03・3202・4977、raik.kccj@gmail.com )。
(2011.6.29 民団新聞)